やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「痛い!・・・真木さん、そう言われても、アッシにも行き先教えてもらえないんじゃ、どこで曲がっていいのかなんてわかりませんよ!」
不満そうな表情で文句を言うポチ。
「だから、曲がるところで教えてやってるだろ!」
「・・・・曲がるところを過ぎた後で教えてくれてるじゃないですか・・・。」
「・・・何か言ったか?」
真木ヒナタが、再び右手を硬く握って、こぶしをつくる。
「・・・言ってません。」
不満いっぱいの表情でつぶやくポチ。
車をいったん、路肩に止めて、対向車が来ないことを確認してから、Uターンをして、真木ヒナタの言った信号へと戻る。
「・・・ヒナタ、何か目つぶってたら、眠くなってきちゃったんだけど?」
後部座席の組長が、目を閉じたまま、大きなあくびをした。
「んっ?あと5分も過ぎれば、目的地に到着するから我慢しろよ、大和。」
「・・・・だめだ・・・もう、眠たくてたまらないよ。」
組長は、苦しそうにつぶやく。
「まったく、大和は。・・・・だったら、今から起こりそうな事を想像してみろよ。」
「今から起こりそうな事?・・・・・エヘヘ・・・少し眠気が覚めたよ。」
にやけながら笑う組長。