やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「大和、それしっかり握っとけよ。」
「・・・・いいけど・・・・なんだこれ?」
「秘密だよ。・・・今教えてもいいけど、後での楽しみ減るぞ?」
「・・・・・・・・・それもそうだな。」
真木ヒナタの言葉に納得する組長。
その横で、ポチが焦ったような表情をしていたが、真木ヒナタに睨まれて何も言えなかった。
「それじゃ、目を閉じて、俺が渡した物を持ったまま、今から向ける方向に歩いていってくれ。」
真木ヒナタが、目をつぶったままの組長に説明する。
「あっ、アッシは、ここら辺で・・・。」
「何言ってんだよ。ポチも大和について行くに決まってるだろ!」
逃げようとするポチを睨みつける真木ヒナタ。
「えっ、あっ、そういえば、アッシ、用事があったような気が・・・。」
「・・・・・大和についていかないで、俺に殺されるのと、ついて行って、俺に殺されないのどっちがいい?」
笑顔でポチを脅す真木ヒナタ。
しかし、笑顔の真木ヒナタの目は、少しも笑っていなかった。
「・・・・・・・・・・・・・わかりました。」
渋々、納得するポチ。
「まだ~?」
目をつぶったままの組長がせかすように声を出す。
「ちょっと待てよ、大和。」
真木ヒナタは、組長に声を掛けると、組長の側に立ち、組長の体の向きを銀行の入り口が正面に来るように向けた。
「よし、いいぞ、大和。」
真木ヒナタの声と共に、組長が歩き始めた。