やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第11節:組長救出
「・・・・・・・・」
ポチの説明を聞き終わった一同は、静まり返っていた。
「・・・・あれ?どうしたんですか、皆さん?」
反応を示さない私達に不安そうな表情で尋ねるポチ。
「・・・・・最悪の状況ですね・・・・。」
ようやく執事が、疲れきったような表情で声を出した。
「・・・・ですね・・・・。」
私も執事の言葉にうなずく。
「・・・大和、出所したら、盛大にお迎えしてやるからな・・・・。」
何故か、天井を見上げながら、つぶやく真木ヒナタ。
「・・・・何年くらいで出てこれるんですかね?」
真木ヒナタに尋ねるサブ。
「そうだな・・・・俺の経験によると・・・10年くらいかな。」
天井からサブに視線を移し、しみじみと答える真木ヒナタ。
「10年・・・ですか・・・・組長、刑務所の中で仲良くやれますかね?・・・天然なところあるから、いじめられなきゃいいけど・・・。」
心配そうな表情になるサブ。
「確かにな。・・・俺も昔、刑務所に入った当初は、いろいろ苦労してな・・・・俺ってこんな風貌だろ?・・・他の囚人に言い寄られて・・・本当に大変だったんだ・・・。」
何かを思い出すように苦しそうにつぶやく真木ヒナタ。
「真木さん・・・・。」
そんな真木ヒナタを心配そうに見るサブ。
「あっ、でも、心配するなよ。・・・俺、そんな状況にも負けずに一生懸命、スプーンひとつで牢屋の壁に穴を掘って、見事に脱獄したんだ!」
顔上げ、明るく笑う真木ヒナタ。