やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・そうですか。わかりました。それでは、私と小夜さんと・・・・・ポチさんで行ってきましょうか。」
執事が、ポチを見る。
「嫌ですよ、アッシは!!」
即答するポチ。
「・・・何故ですか?警察署まで行くのにポチさんに運転してもらわなければいけないのですが?」
不思議そうに尋ねる執事。
「それは・・・何でも嫌なんです。」
珍しく執事に逆らうポチ。
「・・・まさか、何か私に隠している真実があるのではないですか?」
挙動不審なポチの動きが、この執事の言葉で止まった。
「そ、そんなわけないですよ。」
明らかに動揺したような声を出すポチ。
「だったら、別に一緒に行ってもいいでしょう?」
目が笑ってない笑顔をつくる執事。
「・・・は、はい。」
ポチが、執事の笑顔に負けて、ようやく行く事を納得した。
「あの、すぐに戻ってきますから、ちょっと待ってて下さいね。サブさん、カンジさんとミチさんにも言っておいてください。」
私は、状況のよくわかっていない三郎お爺さんとサブさんに言って、執事とポチと一緒に部屋を出て行った。
「いってらっしゃーい。」
場違いな美奈の明るい声に見送られながら、私と執事とポチは、警察署へと向った。