やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第13節:説得
「スー・・・・ハァー・・・。」
私は、取調室のドアの前に立つと大きく深呼吸をした。
そして、取調室のドアに向かって話しかけてみる。
「・・・組長、小夜です。」
部屋の中からは、返事はない。
「組長?聞こえてますか?・・・」
再び、声をかけてみる。
「・・・・なんだよ?」
少しして、組長が答えた。
「ドアの鍵開けてくれませんか?」
「ヤダ!」
即答で断る組長。
「・・・・組長、牛丼なら私が、いくらでも買ってあげますから、とりあえず、鍵開けてくれませんか?」
「・・・・嘘じゃないだろうな?」
「嘘じゃないですよ。だから、このドアの鍵を開けて出てきてくださいよ。」
私は、どうにかドアの部屋の鍵を開けてもらおうと組長に話を合わせる。
「だったら、ここまで木村屋の牛丼持ってきてくれよ。そしたら、すぐに部屋のドア開けるから。」
「・・・・・わかりました。ちょっと待っててくださいね。」
私は、取調室の部屋の前から執事と加藤刑事のいる所へ戻った。