やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・ぎ、銀行強盗ですか?」
状況を知っている執事が、少し気まずそうに声を出し、私は、聞いてません風の様子で視線を加藤刑事と合わせなかった。
「ああ、それも、大和のものを合わせて、3件同時に銀行強盗が起きたんだよ。」
加藤刑事が、苦々しい表情で執事を見た。
「・・・・2件では無くて、3件ですか?」
加藤刑事に確認を取る執事。
「・・・・くそ餓鬼・・・お前、何か知ってやがるのか?」
その瞬間、私は、加藤刑事の目が光ったように見えた。
まるで、獲物を見つけた鷹のように鋭い視線で執事を睨みつけている。
「・・・いえ、大和以外のものは知りませんが?」
そこは、さすがに執事。
加藤刑事に睨みつけられた瞬間に顔は微笑に包まれて、何かを読み取らせるようなことはしなかった。
暫しの間、見つめあう加藤刑事と執事。
急速に室内の温度が、下がっていくように感じる。
私は、その緊張感と後ろめたさで、今にも意識が飛びそうになった。