やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「んっ?どうしたんだ?」
加藤刑事が、不思議そうな表情で執事を見る。
私と執事は、当然、真木ヒナタが渡してきたようなものなどに口をつけない。
「危険です。」
極めて端的に事実だけを告げる執事。
そして、私も執事の言葉に肯く。
「き、危険?」
執事と私の様子を見て、驚いたような表情になる加藤刑事。
「はい、危険です。ヒナタさんが、渡してきたものを何の疑いもなく飲むことは、ある意味、死を意味します。」
「・・・死?」
執事の言葉に目を丸くしている加藤刑事。
「もしくは、屈辱。」
真剣な表情の執事。
私は、執事の言葉に再び肯く。
「そ、そうか。」
私と執事のあまりに真剣な表情に、加藤刑事は、持っていたコップを部屋の中のテーブルの上に置こうとする。
「ちょっと待てよ!」
その時、真木ヒナタが、叫び声の様な大声を上げた。
「・・・何ですか、ヒナタさん?」
そんな真木ヒナタを冷たいほどの冷静さで見つめる執事。