やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「ちょっと、酷くないか?いくら俺が、いたずらっ子だといっても、状況を見てイタズラするぞ?今、この状況でイタズラなんかするわけないだろ?」
「・・・・ヒナタさんが、状況を見ることができるような普通の人間ならば、今、私が警察署に来ることは無かったと思うのですが?」
真木ヒナタを見る執事の目の冷たさは変わらない。
「そもそも、真木さん、一番やっちゃいけない状況の時にこそ、とんでもないイタズラしますし・・・。」
私も執事に続いて言った。
「な、何だよ、お前ら・・・俺をそんなKYな奴だと思ってたのかよ・・・。」
ショックを受けたような表情になる真木ヒナタ。
フラフラと執事に近づくと、執事の手から先ほど真木ヒナタが渡したコップを奪い取った。
ゴクゴクゴクゴクゴク・・・プハァ!
奪い取ったコップの中身を一気に飲み干す真木ヒナタ。
「ほらみろ!飲んでも平気だろうが!」
私と執事を睨みつけながら、真木ヒナタは、空になったコップを見せつける。
「そ、そんな、まさか、ヒナタさんが、何のイタズラも無しにコップを渡すなんて・・・。」
驚愕の表情を浮かべる執事。
そんな執事を勝ち誇ったような表情で見下す真木ヒナタ。