やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「ぼうがだじじごぐ?」
「これぞ、俺様が、長年研究を続けて発明した唐辛子の辛味成分だけを取り出した必殺の液体なのだ!しかも、無色透明だから、何に加えても、気付かれること無く、相手に飲ませることのできる優れもの。」
恍惚とした表情で語る真木ヒナタ。
「だんでばだじでずが?」
「ふん、俺様より大和の方がカッコいいなんて言う奴は、死んじゃえばいいんだ。」
不貞腐れたように頬を膨らます真木ヒナタ。
しかし、そのかわいい行動とは裏腹に、やっていることは、まったく冗談にならない。
パシッ。
「あっ。」
そんな真木ヒナタが、不意に声を上げた。
見ると、真木ヒナタの手から小瓶が、執事に奪い取られていた。
そして、執事は、左手で真木ヒナタの顎を力いっぱい締め付ける。
そうすると、自然に真木ヒナタの口が開いていった。
「ストップ、ストップ、龍一。」
必死の表情で執事に訴えかける真木ヒナタ。
しかし、執事は、無表情で行為を進めていく。
真木ヒナタの口を開かした後で、右手に持った小瓶を器用に右手だけで蓋を開け、そして、中身の液体を残りの半分ほど、真木ヒナタの口に注ぎ込んだ。
・・・ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
まるで悪魔の断末魔のような叫び声を上げて、真木ヒナタが、部屋を飛び出していった。