やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第15節:組長捕獲作戦2
トントンッ
私は、軽く取調室のドアをノックする。
当然、中からは、何の返答もない。
「組長?組長?・・・。」
私は、何度かドア越しに声をかけてみるが、中からは返答はない。
しょうがなく、中の様子を探るために耳をドアへピッタリとつけててみた。
・・・Zzzzzzzzz・・・・Zzzzzzz・・・・
「・・・組長、寝ちゃってるし・・・。」
私は、ドア越しに聞こえてくる健やかな組長の寝息を聞いて、こんなに一生懸命になっている私が、馬鹿らしくなってきた。
しかし、そうは言っても、組長に起きてもらわなければ、何も始まらないので、必死に声をかける。
ドンドンドンドンッ!!!
「組長、起きてください!!!」
ドアを強く叩き、大きな声を出して、取調室内の組長を起こそうと試みた。
そして、それを10回ほど繰り返した後で、予想外の出来事が起きた。
ガチャッ。
「フワァ~、もう、何だよ、人がせっかく気持ちよく寝てたのに!」
突然、何の前触れもなしに開いた取調室のドア。
そして、そこから、出てきた寝ぼけ眼の組長。
急な出来事で動きの止まる私。