やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「そういう組長もさすがですね。ギリギリまで、ひきつけてから、逃げるなんて。まるでドラマのワンシーンみたいですよ。」
「・・・・やっぱり、わかっちゃった?俺にしか出来ないよなぁ~、あの絶妙かつ完璧な逃げ方。・・・自分の才能が怖い。」
「本当ですよ。組長、役者になった方がよかったんじゃないですか?」
とことん褒めまくる私。
「・・・役者って、アクターのこと?」
「そうですよ。もし、組長が、アクターになっておけば、今頃、アカデミー賞も夢じゃなかったと思いますよ。」
「・・・あ、アカデミー賞?」
「そうです。いわゆる、主演男優賞とかとっちゃったりして。」
「ちょ、ちょっと待て、小夜。いくら小夜の言うことが事実としても、いきなり言われたら、俺の想像力もついていけないぞ。ゆっくりと、ゆっくりと言ってみろ。」
組長ののぼせ上がった声。
「わかりました。いいですか、組長?」
「・・・準備OK!レッツ ゴー 小夜!」
「それでは、まず、役者を目指す組長を想像してください。」
ゆっくりとした口調で語りかける私。