やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「よし、まず、役者を目指す俺だな。」
ウキウキした声の組長。
「そうです。そして、組長は、苦労の末に念願のハリウッド進出を成し遂げます。」
「・・・・グスッグスッ。」
取調室の中から組長のすすり泣く声が聞こえてきた。
「どうしたんですか、組長?」
「えっ、は、ハリウッドに進出するまでの苦労を思うと、涙が出てきて・・・。」
異常なまでに役にはまりきっている組長。
「そ、そうですか。・・・続けても大丈夫ですか?」
「んっ?・・・ああ、つ、続けてくれ。」
「それでは、ハリウッド進出した組長は、ライバル達との様々な戦いに勝ち、見事、アカデミー賞を獲得したのでした。」
「・・・・ライバル達って?」
「ライバル達といえば、ライバル達ですよ。」
いきなりの組長の質問にうまく答えることができない私。
ついつい、そのまま返してしまった。