やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「え~、それじゃ、うまく想像できな~い!」
不満いっぱいの組長の声。
「そ、それじゃ、龍一さんでも想像すればいいじゃないですか?」
「・・・・・・・龍一に勝つ俺の姿が、想像できない・・・・グスッ・・・・。」
鼻をすする音と共に哀しそうな声でつぶやく組長。
いつも執事に対して強がってはいるが、完全に組長の中には、執事に対する負け癖がついているらしい。
「だ、だったら、ぽちさんでいいじゃないですか?」
ここで組長の機嫌を損ねるわけにはいかないので、急いで代役を立てる私。
「・・・ぽち?・・・・・グスッ。」
しかし、取調室の中からは、再び、組長のすすり泣く声が聞こえてきた。
「どうしたんですか、組長?」
「グスッ、ぽ、ぽちの役者の姿が、まったく想像できない。」
「・・・・ですよね。すいません。それについては、全面的に私が悪かったです。」
私は、素直に謝った。