やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「グスッ、しょうがないから、ヒナタで頑張ってみる。」



組長は、想像のライバルを真木ヒナタで想像することにしたらしい。



「頑張ってください、組長!」



組長が、想像できるように、必死の声援を送る私。



「う~ん、う~ん・・・・・・・・・・・できたぁ~!」



取調室の中から、組長の歓喜の声が聞こえてきた。



「やりましたね、組長。」



取調室の外から、組長の声で想像成功に気付き、私も喜びの声を上げた。



「ありがとう、小夜。お前のおかげだよ。」



「いいんですよ、組長。私も・・ゴホッゴホッ。」



急に咳き込む私。



「どうした、小夜?」



組長の少し心配そうな声。



「あっ、大丈夫ですよ、組長。ちょっと、話しすぎて、喉が痛くなっただけですから。こんなの愛媛県産のオレンジジュースを飲めば、一発で直りますから。」



「・・・愛媛県産のオレンジジュース?」



「はい。オレンジ100パーセントの美味しいオレンジジュースです。」



「ゴクッ・・・・・飲むの、小夜?」



うらやましそうな組長の声。


< 258 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop