やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「グスッ、しょうがないから、ヒナタで頑張ってみる。」
組長は、想像のライバルを真木ヒナタで想像することにしたらしい。
「頑張ってください、組長!」
組長が、想像できるように、必死の声援を送る私。
「う~ん、う~ん・・・・・・・・・・・できたぁ~!」
取調室の中から、組長の歓喜の声が聞こえてきた。
「やりましたね、組長。」
取調室の外から、組長の声で想像成功に気付き、私も喜びの声を上げた。
「ありがとう、小夜。お前のおかげだよ。」
「いいんですよ、組長。私も・・ゴホッゴホッ。」
急に咳き込む私。
「どうした、小夜?」
組長の少し心配そうな声。
「あっ、大丈夫ですよ、組長。ちょっと、話しすぎて、喉が痛くなっただけですから。こんなの愛媛県産のオレンジジュースを飲めば、一発で直りますから。」
「・・・愛媛県産のオレンジジュース?」
「はい。オレンジ100パーセントの美味しいオレンジジュースです。」
「ゴクッ・・・・・飲むの、小夜?」
うらやましそうな組長の声。