やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・だ、誰ですか、彼女は?」
私は、部屋中に充満する不快感に耐えながら、声に出した。
「・・・まぁ、ある組織の幹部の一人です。」
執事が、不快そうな声を出す。
「ある組織の幹部って、そんな怖そうな人にあんなこと言って大丈夫なんですか?」
「・・・まぁ、大和に何か考えがあるのでしょう・・・ね。」
執事は、組長の肩を右手で軽くポンッと叩く。
「・・・・ないよ。」
組長は、ぼそりとつぶやく。
「・・・・ない?・・・・冗談ですよね、大和。」
執事の頬が、ひきつる。
「だ、だって、あんなこと言われたら、ああ言い返すしかないじゃん!!」
逆切れの組長。
「・・・・・せめて、何故、彼女が日本に来ているのか理由を聞き出さなかったんですか!理由がわからなければ、対応のしようがありませんよ、大和。」
私は、ここまで焦っている執事の姿を始めて見た。