やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「ちょっと待っててくださいね、ポチさん。今、大事な話してるんで。」
私は、ポチを見た。
「あの~お願いがあるんですけど。」
「だから、後で聞きますから、ちょっと待ってて下さいね。」
私は、ポチに言い聞かせる。
「・・・・・アッシ、いい案があるんですけど?」
この言葉に全員がポチに注目した。
「・・・それで、そのいい案っていうのは何ですか?」
私がポチに尋ねる。
「・・・その前にお願いがあるんですけど?」
ポチが言いにくそうに私を上目遣いで見た。
「・・・一応、聞きますけど、変なことはダメですよ。」
「もし、アッシの案がうまく行ったら・・・・かつら買ってください。」
涙目で私を見るポチ。
「・・・・かつら・・・・ですか?」
私は、ポチの髪を見る。
正面から見ると、別にかつらが必要な髪には見えないが、私から見えない場所が、見事に禿げているのは、先ほど見たので知っていた。
「・・・・それは、別にいいですよ。」
ポチが可愛そうになり、ポチの申し出を承諾する。