やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「了解。」
サブも小声でうなずく。
約束の時間通りに業者の男が現れた。
「すいません。山本商事の者ですが。」
ドアから入ってきたのは、太った中年の男だった。
「あっ、どうぞ、入ってください。」
私は、ドアのところまで行き、男を迎える。
「失礼致します。」
山本商事の男は、丁寧に頭を下げて私の後をついて、店の中央においているテーブルの前に行った。
「初めまして。私、山本商事の常務取締役をやっております、山本五郎と申します。」
山本五郎は、丁寧に頭を下げながら、私に名刺を差し出した。
「あっ、私は名刺持ってないんですけど、いいですか?」
私は、山本五郎の名刺を受け取りながら、申し訳なさそうに言った。
「はい。それは全然構いません。」
人の良さそうな表情を浮かべる山本五郎。
(この人なら、うまくやってくれそう・・・)
私は、山本五郎の表情を見て、少し安心していた。