ずっと一緒に*先生の青②




その夜 先生は
一度も部屋から出て来なくて




翌朝、起きて
ダイニングに行くと



「お!イチおはよう」



いつもなら
まだ寝てるはずなのに


先生はすっかり
身支度が整った状態で
キッチンで
ヤカンに火をかけてた



「イチ、座りなよ
今、紅茶淹れるから」



先生が視線で
ダイニングテーブルを
指し示し



おとなしく従って
椅子に腰を下ろすと



「………あれ?クランツ
行って来たの?」



テーブルの上には
早朝から開いてる
駅前のパン屋さん
『クランツ』の袋があった




先生は火をとめ
ポットにお湯を注ぎながら



「うん。
出来立てでまだ暖かいよ
イチ、クランツの
くるみブレッド好きだろ?」



確かにバターたっぷりの中に
香ばしいくるみが
たっくさん入ってて



だけど、548円もする
スーパーなら六枚切りで
食パン98円で手に入るのに




………コトン



湯気の立つ
紅茶の入ったマグカップを
私の前に置いて
先生は向かいの席に座る




ガサガサ
袋からくるみブレッドを出して



「ほら、食べよう」


先生から受け取った
くるみブレッドは暖かい





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