ずっと一緒に*先生の青②
「青波、風邪だって?」
夜、パパが帰ってきて
リビングで
消防車のオモチャで遊ぶ
青波を抱き上げて訊いた。
テーブルに
夕飯のおかずを並べながら
「うん、大したことないって
全然ダイジョーブ」
私の言葉に
「良かったなー」と
抱き上げた青波の頬に
キスをするパパを見て
うん、うん、ダイジョーブ
平和だ、とっても平和だ
そう何度も心の中でうなずいた
ダイジョーブ、ダイジョーブ
自分に言い聞かせてる時点で
自分が今とっても
いっぱい いっぱい なのに
私はいつも気付けない
最近、
自分でスプーンを持つようになった青波
食事時は
こぼしても平気なように
青波の椅子の下は
新聞とビニールシートで
完全防備
ちゃんと
出来るようになるまでが大変だ
おっぱい飲ませて
オムツ替えて
寝かせてた
生まれたばかりの頃の方が
楽だったなって思ったりして
食事は楽しくなければいけない
育児書通りに実行すべく
「お豆腐おいしいね」とか
「よく かみかみ だよ」とか
満面の笑顔で
モグモグ口を動かし
茶碗を持ったまま
テレビに集中するパパに
「食事中テレビは消してよね」と注意する
「はいはい」
パパはため息まじりに返事して
お味噌汁をすすって
「ごちそうさまでした」と
重ねた食器を
左足を引きずりながら
キッチンに下げ
いち早く自分の部屋にこもる