わたしの名前は…
-7 『救世主』
「実は…
あの時オレと一緒にいたでっかいの、
覚えてますか?」
「あ…
どっちかっていうと、大きすぎて、
そっちの方が覚えてる…」
「あー、いいんです。
そっち判ってくれれば。
そいつが…
あー!
何でオレが言わなきゃなんだ?!」
「あのー、早くしてくれる?」
「あー…だよね…、あの…」
話はこうだった――
あの日、
大型電気製品を運んだ日、
その大きな
母の気に入った男は、
私に一目惚れ…
配送先の連絡先として知っている
私の携帯番号に電話したい。
基本は、
仕事上知り得た個人情報、
勝手に利用はできない。
友達からでいいから、
電話させてほしい…
と―――
「んー…」
「あ、ダメならダメで…
あー…
なんて言お…」
ゴネゴネ細いカラダを揺らしながら、
細い男は悩み顔…
「…わかった。
いいよ、友達なら…」
「マジで!
良かったぁ…
じゃあ、コレ!
ユウキの携番。
ありがとうございました!
ホントありがと!」
そう言って、
私にデカイ男の携番を書いた紙を渡し、
細い男は帰って行った。
「ユウキ…
コウキ…ふっ(笑)」
すぐにユウキの携番を
自分の携帯に登録した。
コウキの携番は
登録から削除したままなのに…
その夜、
何かを感じたかのように
久しぶりにコウキから電話が来た。
何か私とコウキには、
離れられないナニカがあったのか…
私はコウキを避けて生きてはいけなかった、
学ばなければいけないと、
運命が仕向けていたのか―――