わたしの名前は…


「おう…オレ…」

「うん…」

「元気?…」

「………。」

「じゃねぇよな…
オレ…ごめん…
オレ…
お前傷付けてばっかで…
泣かせてばっかで…」

「………。」

「今のオレ
好きじゃねーって言われてショックだった。
オレやっぱ、サキのこと好きだから。」



コウキの口から、コウキの声で、
久しぶりに
好きという言葉を聞いた…



バイトで聞き慣れた言葉…


なのに
なんて幸せな言葉だろう―――


涙が出てきた―――

いつから私はこんなに涙もろくなったのか―――



「サキ…
泣かないで…
オレ本当にもうお前を泣かせないから…
信じて―――」

「コウキ―――」

(愛してる―――)

「サキ、愛してる。
ごめんなサキ―――」



何よりも欲しかった…

私はコウキの愛が
何よりも欲しかった―――


誰にも理解されなくていい…

私はコウキの愛が
欲しかった―――。


何よりも―――




その呪縛のようなものは
たぶん一生消えない―――


ねぇ、コウキ、
私はあなたを愛したことを間違いだったと
今も思えない―――

あなたは変われた。

あなたなら変われた。

そう、
今も思っています…

出会わなければ、
私のこころは楽だった。

そう思う、
今でさえ、
私はあなたを信じています―――

あなたという人間を、
信じています…



どうか、
次あなたが出会うヒトが
ツヨイヒトでありますように―――
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