わたしの名前は…
「騙す?
何?騙す仕事って…」
言えば、
私の汚いところ全部知ったら
ユウキはきっと私を嫌いになる…
これ以上
自分が汚いのを思い知りたくない
二股なんて最低だ…
こんなきれいなヒトを
私に巻き込んじゃいけない
好きだけど、
好きだから、
嫌われたい―――
「ピンサロ。
解るでしょ?
騙して、脱がして、
お金とるの!
何人も何人も、全然知らない人のをヌクの!」
さすがにユウキはしばらく絶句した…
(汚いの…
ユウキはもっときれいなヒトを好きに…なってね…)
私は笑ってみせた。
汚くっても笑えるの…
ごめんね、ユウキ…
「ね、汚くて嫌いになったでしょ!」
するとユウキは、
私の顔を見て
「何泣いてんの…
俺には嘘つかなくていいって言ってんだろ?
笑いたくなきゃ笑わなくていい。
汚いなんて思わない。」
マジメ顔で、
少し怒って
ユウキは言った…
「サキのこと知りたい。
もっと、何でも…
俺は“サキ”が好きなんだ!」
何を言っても無駄だった。
ユウキは
“サキ”を“私”を
好きになってくれたから…
かなわないと思った…
私はユウキに
全部、思いつく自分全部を教えた…
こんなことがあった、
その時どう感じた…
全部、全部…
ユウキは私の話を
私と一緒に笑い、
私と一緒に哀しくなり、
ずーっと私の肩を抱いて聞いていた…
まだ夜は寒い初夏の、
きれいな夜景のなか、
キタナイ私の
全てを暖めるように…