わたしの名前は…
-2 『恋』

「今すぐ出てこい」


イツキ先輩からの、いつもの自己中電話…


「はぁ?ムリ、ムリ。
今オフロ中〜〜〜。」

「いいから早く出てこい!」



…この自己中、
嫌いじゃないけどね。



「何時だと思ってんの?
アシないし」

「もう迎えに来てるから」

「はぁぁぁ?勝手な奴だ」

「はぁ?じゃねぇ!
このオレがアシしてんだ 早く出てこい!!」



???



「あんた誰???」

「今この女、オレに
あんたって言った?!
イツキっっっ!!」


イツキ先輩と、『アンタ』のやりとりが聞こえる

携帯をタオルの上に置き
風呂をあがる…

着替える私に、

「聞いてんのか?!
あがったんなら来い」

と、携帯からイツキ先輩…

すぐそこにいるのに、携帯からする声…

変な感じ(笑)

「今行くよ、うるさいよ」



いつもこんな感じ。
自己中で、世の中に、
時計なんてないかのように深夜も何もお構いなし。

でも、嫌いじゃないなぁ…

一人でいるより
うるさい中に紛れて、
失恋したこと忘れていたいから…


イツキ先輩は、
私の元彼の友達の友達。

元彼の友達に誘われて遊んでたら会った。

中学生の私が、ふざけ半分で追っかけしてた先輩(笑)。

それをふざけ半分で言ったことから始まった、
彼氏でも友達でもない、
いまでもよく解んない関係…

でも、そのよく解んない
関係から、
この日、18歳の冬が変わりだす…

深夜0時過ぎ、
この先に何が起こるかそんなこと、考えてなんているわけない。

今、楽しければそれでいい…

だって、大人になったら、深夜に遊んでも夜遊びって言われないじゃん!?
若さの特権!!

屁理屈だけは大得意!!!

そんな、よくいる18歳、
木下サキ、出発!!

玄関のドアを開け、乗り込んだ車が、
目覚めるのに10年以上…

いや…もう、
目覚められないかもしれない夢の始まりへ導いていたとも知らずに…
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