わたしの名前は…




「…キズ付くの、
―――怖いんだ…。」

「何で?キズ付けないよ?
ホントに好きだよ…」


まわした腕に力が入る…

「この腕…
ホントに人殴るの?」

「…何で?怖い?
――ああ。
サキを守るためなら、殴る――」



何でこんなにサラっと
この人は
私の欲しい言葉を言えるんだろう…

全身が脈を打つ…

心の奥から、
身体の全てまで感じてしまうほど

魔法の呪文のように
私の心身を解凍する言葉…



「だめだ… 好き……」

そう伝えたら
失恋って魔法がスーッととけきったような、
そんな感じがした――





「あああぁー!」

コウキが大きな声を出す。

同時に大好きな腕が
私のウエストにまわされ
力一杯抱き締める…



「もう、オレのモンな!」

うれしそうに言うコウキ…

私を抱き締め
こんなにうれしそうに、

こんなに私を
幸せなキモチにしてくれたヒトが、他にいただろうか…



「うん、あなたのもの…」

私の肩を片手でつかみ振り向かせ、
キスをする…

やさしくて
あったかい、キス…

静かな部屋に
隣から聞こえるテレビの
音が、
さらに大きくなったのは
私の気のせい…かな…



やさしいキスをしたまま
やさしい腕に抱き締めたまま、
私をベッドに座らせ――

ゆっくり、ゆっくり、
服を脱がせていった――
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