わたしの名前は…
8月12日―――
「サキがあっち行く間、
俺、家帰るな…」
増えたユウキの服…
全部まとめ、
ユウキは車のトランクに詰めた…
「うん…」
夕方発の新幹線に乗る私…
ユウキは車で私を東京駅まで送った。
「もう少し時間あるだろ?
ギリギリまで、乗ってろよ…
ちゃんと改札まで送るからさ…」
車の中
ほとんど何も話さず、
手をつないで…
でも、
時々強く握り合い、
私たちはそれで何かを伝え合っていた―――
「ユウキ…
そろそろ行かなくちゃ…」
「―――行くなよ。」
消えそうなほど小さな声…
「ユウキ…」
「行くなよ!
俺の傍にずっといろよ!
やめちまえ!!」
「ユウキ―――
行くね…」
「何でだよ!何で…
―――なんてな。」
無理矢理笑って、
ユウキは車を降りた…
「さ!行くぞ、サキ!
いっぱい愛されて来い!」
助手席のドアを開け、
私の右手をユウキは引いて歩いた…
大きなやさしい手で、
しっかりと握り締め―――