わたしの名前は…
改札口―――
ユウキの足が止まる…
「ここまでだな…」
振り返るユウキ――
右手を握ったまま、
私を抱き締め
「なぁ、サキ?
お前今、幸せ?」
真っすぐ
きれいな瞳で見てユウキは聞いた…
「うん。」
握る手に力が入るユウキ…
「じゃあ、俺、
家に入れてもらえるな!
…幸せになれよ、サキ。
ちゃんと愛してもらわなきゃ、
―――――。」
「ユウキ―――」
「行け!
ちゃんと愛してるから
お前をずっと愛してる奴がいるから、
安心して行け!」
そう言って私を改札口に向かせ、
軽く背中を押した…
人の流れに巻き込まれ、
慌てて改札を抜ける私…
「ユウキっ!」
「ん?」
「ありがとう(今まで…)!
私…」
「いいから早く行け!
ちゃんと買ってもらえよ!指輪!
バイバイ、サキ…
愛してる、誰よりも!」
最高の造り笑顔で、
ユウキは左手の薬指を指差しながら言い、
右手を振った…
「ユウキ…
ありがとう…
私…(も、愛してる…)
(だから)バイバイ…」
右手を振り、
リングにキスをした…
ユウキがさっきまで握り締めていた右手のリングは、
ユウキの愛で
あたためられていた―――
バイバイ、
誰より愛しいヒト―――
バイバイ、
私の愛しい救世主―――
好きだから、
だからあなたを、
選びません―――