わたしの名前は…
-8 『現実』
想像以上に
コウキはキレていた…
夢ではない現実…
ユウキの姿が
脳裏を横切る―――
本当の愛を知ったら、
それが現実に存在すると知ったら…
求めてしまう―――
それでいいんだよね?
ユウキ…
ちゃんと愛されるまで愛を求めなきゃ、
ちゃんと幸せになれないもんね?
ユウキ…
「あっちで男作って
こっちに来たくなかったんだろ!
で?早く帰るのかよ!
そうなんだろ!
男待ってんだろ!!」
半分正解。
半分不正解…
「違う。
もう、夏休みいっぱいいるし、
男なんか待ってない。
私にはコウキしかいない。」
自信を持って言うよ…
そのために、
私が自信を持ってコウキだけだと言えるように、
ユウキは私を振ったんだから…
あなたと幸せになるように…と―――
「バイトだってウソだろ!
夏休みならバイトしたい奴いっぱいいるだろ?!
そんなに頼まれるかよ!」
「あぁ…
うん、ウソ。
これ買いたくて、バイト入れてもらったの。
誕生日、おめでと、コウキ。」
あなたを愛していなかったわけじゃないの…
あなたを忘れていたわけじゃないの…
「いきなりモノで騙そうったって…
お、これ…」
そう、
コウキが欲しがってたの
ちゃんと聞いてたよ?
「すげぇ!
何でオレの指のサイズ分かるんだよ!」
手フェチですから…
「コウキの手、好きだから…」
嘘じゃないよ、
あなたが私を守ってくれた手、
腕枕して頭をなでたやさしい手、
大好きだったよ…
コウキはぴったりのリングに機嫌を直した…
あなたには分かるかなぁ…
私の愛した手に、
私の愛したコウキに、
愛されたい、
私の想いが―――