わたしの名前は…

「でもさぁ、ソレ。
その指輪なんだよ?
男に買ってもらったんじゃね?
薬指になんかして。」

「コレは自分で買ったの!
コウキの見に行ったらサキも欲しくなって…」



不信な表情のコウキ。


「右手の薬指に指輪してると
彼氏いますよー!って証拠で変な虫寄らないんだって。」



こういう話にウトイコウキ。


私は最後までつき通すよ、
ついた嘘は、最期まで…



人をキズ付けない嘘はつく。

つき通した嘘は、本当になる。



「へぇ…
でもそれって男が買ってやるもんなんじゃね?」

「んー…そうなのかなぁ?」

「そうだろ普通。
そんで、
彼氏に買ってもらったの♪
とか言うもんだろ?」



はい、のっちゃったね、コウキ…

「え?そう?
サキ、自分で買っちゃったぁ!
じゃ、効果ない?!」

「ねぇだろ(笑)!
わかったよ、
ボーナス出たからちゃんとオレが買ってやるよ。」



ボーナス…かぁ…

ユウキ、
私に会わなきゃボーナスもらってたよね…

ユウキだって、
きっと指輪を買われるより
自分で買ったのさせたかったよね…



「まぁ、いいや。
オレが買うまでそれで虫除けしてろ。
それよりいいの買ってやるから。」


こんな貴金属に、
コウキは興味がない。

シルバーのリングだって、
ただないより着けてたほうが格好いい、その程度…


コウキは私が、
ファミレスでバイトしてると思ってる

まさか私のバイト代が、
今のコウキの月給を上回るとは、
夢にも思っていない…



コレ、
結構しますよ?コウキ。


コレよりいいの?

ごめんね、
今はまだたぶんないよ…

値段じゃなくね、
コウキがユウキを越えてくれるかどうか…

私の幸せが、
あなたにまた辿り着けるかどうか…

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