わたしの名前は…

「サキはもう行っちゃいましたか?
って、聞くからさ…
どこ行ったか知らないけど行ったって、そう言ったらさ…」

「うん、で!?」

「うん…
何にも…
そうですか、
ありがとうございましたって、帰ったよ?」




(コウキだ…
きっとコウキだ――)


「私を見て急いで降りてきてねぇ…
なんか元気なかったよ?
彼氏じゃないかい?」



「そう…
教えてくれてありがとう…」





もう、1人で…

そう思っていて、
コウキがどうとか
エコー写真を見てから今迄忘れていた――



祖母との話を聞いていた
母が

「認めたくないけど、
コウキが父親でしょ?…
産むにも産まないにも、
もう1度コウキとちゃんと話合いなさい。
あなたの子なのは確か。
私の孫なのも確か。
父親代わりには家族みんなでなれる、
けど、父親は1人でしょ。
認知するかは知らないけど…」



怖いほど真剣な顔で言った。

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