わたしの名前は…





携帯が鳴る―――



コウキの仕事が終わる時間…





「はい――」

「サキ!ゴメン!!」

「何が?」

「ゴメン!!」

「だから、何が?
浮気して?
ヤッちゃって?
自分の子を殺して?
何がゴメン?」

「ゴメン、全部、ゴメン。
疑って、信じなくて、キズ付けて…
全部ゴメン。
オレ、
ちゃんと父親になるから!
オレの子、産んでくれ、頼む!」



今更…



「遅いよ…
あなたの子?
ふざけないで。
信じる?
ふざけないで!
遅すぎるよ!そんなの!」


「ホントに…
堕ろしちゃったのか?…」

「だとしたら何なの!?
あんたなんか、
堕ろしてくれたほうがラッキーだって思ってるんでしょ!」

「違うっ!
違う…
オレをお前のお腹の子の父親にならせてくれ…
頼む…」

「だから遅いって!!
今日病院行ってきたの、知ってるでしょ?!」

「うん…
でも、お前、
堕ろしてないだろ…?」


「っな…
何でよ――。
あんたの子なんか産まないって!!」




なぜ私が堕ろしてないと、
コウキははじめから断定して言っていたのか不思議だった…

病院へ行ったのを知っているのに…




「嘘だ…殺さないよ。
だって…
お前…そういう奴だろ…
お前…自分の子、
簡単に殺す奴じゃないだろ…」



――――。



「何で!
何でそんな私のこと分かったような風に!!」

「解るよっ!
好きな女がどういう奴か。
オレの愛してる女は
簡単にガキ殺せる奴じゃない!
知ってるよ…
お前がそういう女だって…」





ズルイ…
ズルイ、ヒトだ―――


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