わたしの名前は…
「――サキ!
――サキ!!」
次に目が覚めた時には、
私は病室のベッドの上にいた…
そして
コウキが私の手を握り、
私を呼んでいた…
私は自分がうなされて
「ヴー…ヴー…」言う声で目が覚めた。
目を開けるとコウキがいて
私の両親がいて…
「サキ!
大丈夫か!
良かった…
お前が起きないほうが心配だった――」
と、コウキが手を握ったまま立ち上がる…
別にそのとき
どこかが痛かったわけじゃない…
麻酔が私には合わないんだろう…
覚めるとき必ず苦しい夢を見る…
あの日と同じ…
Jr.を殺した日と…
「コウキ…
赤ちゃんは?…」
「大丈夫。
元気だよ、
ちゃんと生きてる…」
そう言ってコウキは携帯で写したわが子の映像を私に見せた…
保育器に入れられているちいさな赤ちゃん…
「2450g…
ちっさいけど、
元気にないた…
頑張ったな…サキ…
産んでくれてありがとう…」
「あんたこれから手術ってのに、
コウキにしか連絡しないで!」
母が呆れ顔で言う…
「あんた親を何だと思ってんの!!
コウキが連絡くれたからいいようなものを、
何かあったら、あんた!
バカ娘!!」
麻酔で死ぬことだってある…
でも何より子供を死なせたくない、
コウキ、コウキ…
そんなときに、
私の頭にはコウキしか全く思いつかなかった…
私の体の下には、
私がお産入院に備え準備していた中にあったバスタオルが敷かれていた…