わたしの名前は…
大音量の音楽が、車外まで響く…



「うるさいよマジで!」

「おせぇーよ、マジで!!」

「だから、あんた誰よ!」

「だから、あんたって言うな!!」

「あっははは」

「笑い過ぎだイツキっ!
ちょっと可愛いからって許されることと許されないことが――」

「ナルセ先輩知らね(笑)?」

…あぁ、
何か聞いたことあるかも

「もしかして、恐い人?
コウキ先輩と友達の?!」

「そうそう、
怒らせるとこわぁーいナルセ先輩だよぉ?!
オレを怒らせるとイツキが殴られるよぉ?!」

(三人)笑!笑!笑!

「何でこわぁーいヒトがアシしてんのぉ(笑)?」

「可愛いイツキが、
どうしても会いたいって言うからさぁ?」

「んぁ?思いっきりやる気出して、運転するから呼べっつったの
ナルセ先輩だろっ!!!」

二人の言い合いがまた始まった………。


「うるさいよ、あんた達」



…………!!!!!


「先輩に向かってあんた言うなっっっ!!」

うるさい、
けど、心地いい…

まだ、失恋から脱出できてないんだなぁ…

先輩も、後輩も、どぉでもいい

大音量に負けじと響く笑い声…

心地よくうるさい車内は、起きたままみている、
楽しい、楽しい、
覚めない夢のような場所…

最高に心地いい車に乗ってついたのはイツキ先輩の家。

いつものコース…

そして二人で
何をするでもなく、
繰り返すテレビショッピングに突っ込みを入れたりして、なぜか大笑い…

男と女が、
ひとつの布団にもぐって
よくまぁ、
テレビショッピングなんてみてたもんだ…

深夜に爆笑して
となりの部屋の兄、
コウキに

「うるせぇっ!!」

って
怒鳴られてた…

何をするでもなく、
ただ、静かなひとりの時間を無くすだけ、
これがいつものコース…

でも、今日は違った…

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