わたしの名前は…
弁護士は私の話を
笑いながら聞いていた…
特に感想なしで、
ただ笑っていた…
そして、私が話終えると
急に真面目な顔で
「それはね、あなたの完全な圧勝だ。
あまりに離婚事由、
慰謝料請求が妥当で、
すみません、笑えます。
もう、調停はやめなさい。
あなたがストレスを受けるだけだ。
その人達に、解決するチカラはありません。」
そう言って、調停委員とはを教えてくれ、
私がおかしいのでないと
断言してくれた。
やっと救われた気がした…
やっと、現実に戻ったような気さえした…
そして、調停をやめ、
離婚裁判をするよう薦めた。
「ただね…
被告は完全な病気だ。
それも、慢性的な…
つまり、治らない、一生彼に付きまとう、
やっかいな病気だ。
だから、慰謝料は愚か、養育費も、
期待はしないほうがいい。」
病気…
私と同じ考えだ…
私は笑えた。
コウキは病気。
私はもうその看病から解放されたい…
“病気だ”の一言で、
ココロの分厚い雲が一気に飛ばされるのが解った―――
晴れ晴れ。
晴天。
そんな気分。
笑った。
勝手に顔の筋肉が動いていた。
久しぶりに笑えた―――
運転手をしてくれていた父が、帰り道、
真直ぐを見て微笑みながら言った、
「久しぶりにお前が笑う顔見たな…
よかった…」
と――――