わたしの名前は…
「何やってんのよ…
何でやめられないのよ…
本当に壊れてるよ…
それで失うのは、お金だけじゃないんだよ!
目ぇ覚ましてよ!!」
私はコウキの胸元を掴み、コウキを揺さ振った…
「ごめん…」
久しぶりに聞いたコウキの声は、
すごく…弱々しかった…
抑え、閉じ込めていた
私の感情が1年の時を経て沸き上がる…
「私が…カナムが…
どんな思いで、
好きな人を…
父親を…
訴えなきゃいけないか!
何でそんな嫌な思いを好きな人にさせなきゃいけないか!」
止められなかった…
「何でそんな、
好きな人に嫌われるようなことをすすんでしなくちゃいけないのか!
何で解んないの!!」
コウキは下を向いたまま黙っていた。
「何とか言ってよコウキ!」
「サキっ!
…もう、やめろ。
こいつにはもう、解んないよ…
もう、やめろ…」
ナルセ先輩に後ろから引っ張られ、
私はコウキから手を離した。
乱れた上着を直しながら
「嫌いに…ならないよ…
オレは嫌いにはならない…
でも…もう………
好きじゃない―――」
そう言ってコウキは店の中に入って行った…
「何で…何で―――!」
泣き叫ぶ私の声は
うるさい程の音と音楽に掻き消され、
コウキには届かない―――