わたしの名前は…
「サキ…
分かってやってくれ…
最後の、お前への愛情だ…」
そう言い残して、
ナルセ先輩はコウキを追うように店内へと消えた…
裁判は当然のように
原告の訴えをほぼのむ形で和解をもって終了した…
ただ一つ、
慰謝料についてはなし…
それで私がよしとした。
コウキの借金の総額が、
初めて証された…
430万越え…
カードももう、ブラックリストに載り、
まともな会社は使えない…
さらに借金してまで払いなさいとは、裁判所も言えない…
私も別にそれはハナから期待してないし、
欲しいとも思わない…
ただ、それほど悲しかった、という示し…
コウキのこれからを苦しめるつもりなんか…
私たちには微塵もないんだ―――
「おめでとう…とは、言わないよ。
一人で子供を育てるんだから、
ここからが始まりだ。
君にはこれからが、
本当の戦いかもしれないからね」
弁護士はそう言って
私の肩を叩き
「守るべき者は、たった一人だ!
頑張りなさい、応援してるよ!!」
と、笑顔で裁判所を後にした…
守るべき者―――
そう、カナムだけ―――