わたしの名前は…
-10 『傷跡』




裁判から数日後、

あの弁護士事務所から封筒が届いた…


裁判での和解調書、
これはいつかまた使わなくちゃいけない日が来るかもしれないから、ちゃんと保管しておきなさい。

と、言われていた。

たとえばコウキが
養育費を払わなくなったらとか…



もう、裁判なんかごめんだ…

それくらいはカナムの為
少しは愛の代わりに…
払ってほしいが、
たぶんコウキの現状じゃキツイ…

いつかは払わなくなるだろう…


でももう、

裁判なんかしない…


私はお金が欲しいんじゃないから…


自分の稼ぎで充分余裕…



そして
離婚届けが入っていた…


コウキが書くところは全て埋まっている…



(ホントに別れるんだなぁ、コレで…)



ペラペラで、
ちょっと扱い方を間違えば
すぐ切れちゃいそうな紙切れ…


こんなもんでくっついたり、離れたり…

バカみたい…





私はすぐに書いて役所へ提出した…

こんなもので

家族になったり、
他人になったり、

人ってそんな簡単なものじゃない…


「はい、確かに、受理しました。」

なんて、
何にも知らない他人が…

アホらしい…

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