わたしの名前は…


ただし…

ココに本物はいない…



みんな必死にいい女、
いい男…



だったら、造ったモン勝ち!

偽造人間なら…

大得意。



ほら君も、
ほら君も―――


みぃんな落ちる―――






「ちょっとサキ!
あんた誰狙い?!
みんな持ってく気!!?」


トイレでサトミが吠える…


「みんなあんた狙いなの見え見えでムカつく!
最悪!今日の合コン!!」



そう?
楽しいよ?
私は…。



みんな見てくれる。

みんな見え見えで、私を求めてくれる。

みんな―――


みんなの…


たくさんの…


より多くの…



愛が私は欲しい―――




「あ…」

「何?!
とにかくサキが誰かに絞ってくんなきゃ
女みんなつまんないよ!」






知ってる…
この感覚…


私が欲しい人は、
そこに1人もいない…


なのに好かれよう、
愛されよう、
愛されたい。と願う…

そして、
男それぞれに合わせて変化して
気持ちを自分に引く…


愛が欲しい、

愛が欲しい…と―――






(“カレン”だ…)





強がって、
ツッパッて、
封じ込めていた
愛に飢えている自分を…


愛されたくて、愛されたくて仕方ないのに封じ込めていた…



それがまた、
愛を求めて



“カレン”を蘇らせた――



繰り返している…
繰り返しているだけの自分のココロ…



でももう、
遠慮する者はいない。

制御する者も―――

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