わたしの名前は…
「いい顔すんな…
この顔守れなかったんだ、
やっぱ馬鹿だよ…コウキは…」
パァーーー…
コウキを乗せた霊柩車が、
大きな音をさせて私達の前をゆっくりと通り過ぎた…
私達は続く車がいなくなるまで、
頭を下げ、
コウキを送った―――
「見た…かな…あいつ。」
「見た…んじゃない…
見て…
後悔してんじゃない?
馬鹿…だから…」
「だな…。もう行くな。
これ、ありがとな。
これ見せて、もっと後悔させてやるよ…
そんで上で、これからは
コレ、ちゃんと守ってろって、
教えてやるよ…」
「うん…。ナルセ先輩…
教えてくれて、ありがとう…。
馬鹿に…
さよならって言っておいて。」
「ああ…。じゃあな。
カナム!
ママ頼んだぞ!
…って、馬鹿が…
じゃあな!」
「任せとけ!じゃあな!」
父親が死んだ、
その父親が今目の前を通り過ぎ、
2度と顔を見ることができなくなる…
そんなことも知らないで、
カナムは元気に手を振り続けた―――