わたしの名前は…
(コウキ…
聞こえた?カナムの声。
いいお土産でしょ?
顔も声も覚えて、
今度こそカナムをちゃんと守ってね…
バイバイ―――)
「行こ…」
「もういいのか?」
「うん。
もう本当に他人だから…。
もう…他人だから…」
「いいんだぞ…
無理しなくても…。
過去は消えない。
消す必要もない。
全部、ゆっくり俺は受けとめるから。」
「うん…
消えないのは解ってる。
でも、もう過去は終わりにしたの…
やっと…。
これからを始めてみようと思って…」
「ああ!!カナム!!
俺も何か叫びたくなってきたぞ!」
そう言ってヒトシは両手で私とカナムを、グッと引き寄せ
「おバカさぁーん!
サキとカナムは俺が貰うからなー!!
俺が守るからなー!!
安心して上行けよー!!」
その叫び声は、
コウキだけじゃなく
私達にも向けられたもの…
そして、きっと、
ヒトシ自身に
これから乗り越える困難に負けるなと言い聞かせる、誓い…
でもあったのだろう―――