わたしの名前は…
-11 『目覚め』
「はじめまして。
サキさんと、
結婚を前提にお付き合いさせて頂いている、
ヒトシです。」
ヒトシはすぐに、
私の家に挨拶に来た…
「ああ、はじめまして…」
ヒトシ以上に緊張している父…
「父さんがそんなに緊張してたら、
ヒトシ君?まで緊張するでしょ!
まぁ、足崩して!」
ガッチガチの空気を、和らげようとする母…
「けっこんをぜんたい?
何?
ママ、何の全体?
ぜんたーい、止まれ!
ピッ、ピッ!」
堅い空気に、
妙にはしゃいで…
きっと、ママが何やら顔が笑ってないもんで、
笑わせなくちゃと思っているらしいカナム…
「全体じゃなくて、前提。
結婚しましょって、
お約束してるってこと。
いいから、君が止まりなさい、カナム。
真面目なお話してるの。」
「真面目なお話?
大人のお話?
カナム耳塞ぐ?」
「あははは!
いいよ、ちゃんとカナム君も聞いてて。」
ヒトシの言葉に、
動きを止めるカナム。