わたしの名前は…
その深夜、
月と星の明かりが差し込む部屋に携帯の音が響く――
プルルルル―――
ヒトシからだ…
何も怖くない…
窓の傍に立ち、電話に出た。
「どうだった…」
「うん…
今、話終わったよ。
カナム…寝たよな…
逢いたいなぁ…
あって2人をギュッとしたい…」
(反対…された…?)
「明日…
ウチに来てくれるか?
俺の親に…会ってくれ。」
「え?
どうなったの?
ダメだったの?」
「駄目…
な、ワケねーじゃん!
大丈夫だって言っただろ!
お前等を拒否する理由、何にもねーだろ(笑)!」
電話の向こうで
ヒトシは笑っていた…
気持ち良さそうなその笑い声に、
窓の外の星も、合わせて瞬いているかの様だった…
深夜なのに明るい部屋は、
まるで明け方の様で、
月と星に照らされて
ヒトシの笑い声で、
私は今、
目覚めたかのような気分の中にいた―――
私はあのとききっと、やっと目覚めた…
目覚ましを止めたのは私…
時計を進めよう、進めようと必死に独りでもがいて…
誰の助けもいらない。
独りで平気。
そう意固地になって、
たった一本の針を必死に動かして…
あとの針が動いてなくて
目覚める時が来るわけもないのに…。
独りじゃない…
今は一緒に針を動かして、
目覚める時を迎えさせてくれる、
確かな存在がいるんだ…。
今まで出会った人、
出合ったこと、
これから出会う、出合う、ヒト、コト…
そのすべてが基盤になったり、エネルギーになったりして
私の目覚まし時計は完成していき…
動きだし…
動き続ける―――
私を起こしてくれて…
「ヒトシ…」
「ん?」
「ありがと。
愛してる、ずっと―――」