わたしの名前は…





「たっだいまぁー♪」

「お帰りぃ、パパ!!」

「おかえりパパ!」


「ただいま、カナム♪
ただいま、セイア♪」



愛の上に成る―――

成愛(セイア)2才…


私とヒトシの2人目の子供…。



セイアを妊娠したときは、
周りがみんな心配した…

ヒトシが
2人の子の父親に…
平等になれるのか…





―――心配御無用。

だって…

ヒトシだもん。





「あれー?
サキがお帰りのチューしてくんない(泣)!」

「パパ気持ち悪い…
サキさぁ、さっきからずっと携帯イジってて、
超つまんないのっ!!」


「何?何か書いてんの?」


「んー…待ってね…
今…終わるから…」

「待つよぉ!
いつまでだってまーつーわー♪」

「キモっ!
ってか、カナム!
ママのことサキって言わなかった、今!!」


「だってサキは、サキだろ!?
パパだってサキって言うじゃん!」


「そう。
サキは、サキだよなぁ!
でも、
サキはパパのだからサキって言っちゃだめぇ。」





サキはサキ…

私は“サキ”。


それ以外の何者でもない…


“私”を見て、
“私”を愛し、
必要としてくれる、

あなた達がいてくれるから
“私”は“私”でいられます―――




「よし!
終わり!ただいま!!」

「ママ、まちがえた!」

「あはは!
だね、セイア。
でもねぇ、ママもきっと今、帰ってきたんだよ。
おかえり。サキ。」

「ママあたまイイコ、イイコいいなぁ…」

「へへっ。いいでしょお♪
おかえり、ヒトシ。
ただいま―――」



ただいま、“私”―――






あなたの“あなた”は、
帰ってますか?


あなたもココロの中に持っていませんか?

ゲンジ名――――












      《完》
< 385 / 386 >

この作品をシェア

pagetop