わたしの名前は…
それから一週間後、
出血はまるでただの生理のように
何事もなかったように
止まった…
あの日の夜のことは
お互い触れることはなかった
私たちは
水子をまつっている神社にきていた…
予約をしたわけでもなく
行ったそこには
何百もの名前のようなものが書かれた札がまつられていた
所々の札の前のろうそくに灯がともっている
Jr.は男の子だったのか、
女の子だったのか―――
薄い黄色の
手袋と帽子を祭壇にあげ、
2人で手をあわせた…
(Jr.、名前もないね、
ごめんね…
やっぱり、私、強くなるから、
また私の子になってね…)
何分も何分も
手をあわせ、ゆれる炎たちを見ながら
何度も、何度も謝った…
私がこうして心の中で
Jr.に話している間、
ずっとコウキは
手をあわせ、頭を下げ
目をつむっていた…
きっとコウキも
Jr.にずっと何か話し掛けていたのだろう…
神社を出ると
コウキは私の肩を抱き、
「オレたちのところに戻ってくるように、
また、来ような…」
と、真直ぐ前を向いて
言った…
このヒトの子を
今度はちゃんと抱きたい――
でも、コウキがそこに行ったのは
その日が
最初で、最後だった―――