わたしの名前は…
少しの間見る事ができない見慣れた町並みを
ぼーっと眺めていた
さっきまで
あんなに賑やかだったから
急に静かなバスの中、
急に淋しさが襲ってくる…
と、プルルルル…
携帯が鳴る
「おう!バス出た?
どこ乗ってる?
左側いる?外見てて!」
幼なじみのヒロアキ
「え?」
「お!来た来た!
見えるか!?
おぉ!いたいた!
いってらっしゃーい!! 頑張ってこいよー!!」
ヒロアキが道路沿いで電話しながら
すんごい笑顔で手を振っていた…
「見えた?!」
「見えた、見えた(笑)!!
ありがと。ね。」
「おう!じゃな!!」
プープープー…
ヒロアキは
私に前、
告白し振られている
でも、変わらず
幼なじみしていてくれた
そんな人だって
見送りしてくれるのに…
コウキ…
すると
また携帯が鳴った――
ピヨ・ピヨ・ピヨ…
コウキ!
「出たか?
…送んねーでごめんな
やっぱ行けなくてよぉ…
マジ行くんだよなぁ…
何か実感なくてな…
行っちゃうの見たらやべぇからさ…
待ってるからな…
ちゃんと待ってるから…
愛してる。サキ」
「うん。私も…」
(私も愛してる…)
涙が流れる…
母に気付かれないよう
ずっと外を見て
声を出さずに泣いた―――
身体を横にしたまま
寝心地の悪いシートで、
寝心地の悪い格好で
何も夢もみず、私は眠った―――