哀歌 <短>
空の主役が、太陽から月に代わる頃――
布団の中、瞼を閉じると、何もないはずの暗闇の中に
悠真と並んで歩いた、緑が光る土手が現れる。
その映像を振り切るように、やっとのことで意識を落とした、数時間後、
瞼を突き抜ける、鮮やかな光で再び意識を取り戻して、瞼を開いた時――
私は頬を伝う、違和感に気付く。
瞼から流れているそれは、唇に届いて、そっと舌を触れさせると、口内にはしょっぱさが広がる。
そうすれば、たちまち今度は、よく悠真のバイクの後ろにまたがって、一緒に見に行った、
空一面に広がる夕焼けと、オレンジに染まった大きな海が、目の前に広がっていく。
どうしてだろう……
私を取り囲む何もかもが、悠真と過ごした思い出へと、連れ去られていくんだ。
全てが、悠真へと繋がっていく。
それはもう、
コワいくらいに――