哀歌 <短>
――1年前。
毎日、うっとおしくなるくらいに、頻繁に電話やらメールをよこして
放課後になると、すぐに姿を現す悠真から、ピタリと連絡が途絶えてから、数日後――
もうこの世に存在していないということを、風の噂で知らされた。
それはまるで、嘘みたいな真実。
いくらなんでも、タチの悪すぎる現実だった。
1学年に10クラス以上もあるマンモス高校で、その上学年まで違う私達。
私が属する特進クラスを始めとして、普通科や、悠真がいる工業科と、数々のコースが存在する。
まるで大学のように、無数の校舎が建ち並ぶこの学校。
そんな、何もかもが違う私達は、いくら同じ学校だといえども、
些細な共通点は、ほとんど関係のないものだった。
二人が交わる時は、放課後だけだったから、そのことを知っている人は、ごく一部に限られる。
おまけに悠真は、私を自分の身の回りに紹介しようともしなかった。
だから私は、この事実を知る術がなかったのだ。
考えてみれば、仕方のないこと。
それでも、私はなんてマヌケなのだろう、と思う。
毎日過ごした存在が、この世から消えた瞬間も知らないで
泣いてやることも、見送ってやることすらできず、ただいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。
本当に、何ひとつ、
いつもと違わない日常を――