すみれ
「ごちそうさま」

部屋に戻ると、僕はすぐに学校指定の制服に着替える。

靴下まで全員統一することが、学力を向上させることにどう役立つのか僕には理解できないが、

そんなところで自己主張する気も労力も持ち合わせていないので、文句も言わず毎日それを履いている。

もちろん今日も足先から胸元のネクタイまで校章入りのものを装備するのだ。

これで僕は完全にあの学校の生徒になる。

鏡には映る僕の姿はそれはそれは平凡な中学生だ。

しかしいつ見ても、首から下げられたこの赤いネクタイというものは、まるで学校に、社会に繋げられる首輪のようで滑稽である。
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