恋のしるし~GIRL’S♪SONG~
そう言い残して櫂が出て行ったのはまだ6時。


「勉強しよ。」


このままじゃマズイ気がするし。

あたしはリビングで勉強道具を広げる。


「お前も熱心だな。」


そう言ってあたしの隣に腰掛けたのは勇士。


「そう?」

「なんか目標でもあんのか?」


目標ねぇ。


「目標ってわけでもないけど…
あたし、家継がなきゃいけないかもしれないからさ。」

「家?」

「うん。まだ汰一が小さいから。」

「そうか。」

「うん…。」


なんでこんな気持ちになってるんだろ。

なんか寂しい。


調子狂う…。


「美希。」

「ん?」

「…やっぱいい。」

「はぁ!? 何さ。」


今は4月下旬。

明後日からは5月だ。


4月中は目ぇ付けられるとマズイから大人しくしてたし…

あたし何もしてないよね!?


「…テストが終わったら…話す。」

「…あそう。」


あ゛ぁ~っ、本当になんか調子狂うなぁっ!!!



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