恋のしるし~GIRL’S♪SONG~
♪千秋 side♪


最近俺の周りをうろちょろしてる女がいる。

名前も知らない。

学年もクラスも知らない。

彼女は美希ほどではないが、長く黒い髪をしている。

その髪を、横で1つに縛っている。

…部活はテニス部。


これしか知らない。


「千秋!」


史也だ。


「なんだ?」

「櫂は?」

「…金田とどこか行った。」

「…あそ…。」

「史也もフられたの?」


俺らが今いんのは屋上。

屋上に来るって事はなんかあったんだろうな…。


…そんな考えは俺だけか…?


「俺はフられたんじゃなくて、自分で言った。

好きだって言って…その後、”これからも見守ってる”って言った。」

「…史也らしいな。」

「そ? でも…当分諦めんのは無理かも…。」


ははっと笑う史也。


「へぇ。」

「どーしたら諦められるか理論的に教えてよ。」

「は?」

「お前頭いいじゃん。」

「…理論的とか…恋愛に理論なんて無いんじゃないの?

ただ言えるのは、前の恋を忘れるには、新しく恋をする…

しか無いんじゃないの?」

「新しい恋ね…。」


俺も…新しい恋なんか…できんのか…な。


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