恋のしるし~GIRL’S♪SONG~
あたしはヒョイッと起き上ると、


「勇士だって頑張ってるんだもん。
あたしも、頑張るよ。」


って笑った。

勇士の顔が、複雑そうに歪んでいた。


「美希…。」


あたしは堪え切れなくて、勇士の首に腕を回した。


「心配しないで…?」


泣きそうだよ…。

本当は怖くて怖くてたまらないし、
心配だってしてほしい。

でも、これ以上勇士に無茶させたくない。


勇士はあたしの背中に腕を回して


「…無茶だけはすんなよ…。」


って言った。


「それ、こっちのセリフ。」


強がりたくなんか無い。

弱い所もさらけ出したい。


でも、今頑張らなくていつ頑張るの?


しっかりしなきゃ。


「ちゃんと、俺らを頼れよ…?」

「うん…。」





こんな時なのに、何を考えているんだろう、あたし。


我慢が利かなくなりそうだよ。


好き。

その気持ちが溢れ出しそうで。


早く離れなきゃって思うのに、
勇士はあたしを離してくれない。


あたしは気持ちを抑え込むように、
勇士に抱き付く力を強くした。


と同時に、勇士があたしを抱き締める力も
強くなった。
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